春日部の押絵羽子板は、すべてが手づくり。全部で50〜70もの材料を組み合わせおよそ200もの工程をかけて一枚の押絵羽子板として仕上げられます。
 
  絵師が芝居の印象をもとに羽子板の枠中に人物絵を描く、この限定された型の中を少しも狭苦しく感じさせず自然な動きとその人物の世界を表現する。  
 
  下絵を厚い紙の上に乗せ、下絵の線ヘラで描くように筋をつけ、糊代(のりしろ)の部分をそれぞれの型の外側に計算して原型を作る。  
 
  厚紙の原型を台紙にあて着物の乗袖、帯や頭の部分、また小道具等、色々な部分を写 し取りその部分をハサミで切り取る。  
 
  台紙の原型を、それぞれの布にあてて型よりも少し広く取り、それらを切り取る。  
 
  布くばりした型に線を含ませて膨らみをつけて縁を糊づけしてコテで張って仕上げる。これが押絵の一型になる。  
 
  型を張って仕上げた押絵の一型一型を下絵の上に合わせて狂いのないように順に組み合わせて行く。組み合わせたら裏返して型の縫目に和紙を細かく切ってそれに糊をつけて補強にして乾かす。  
 
  スガ下(頭の髪に付ける部分)の糊付の所にスガを糊付けして包み込み髪の毛らしい柔らかさを出す。  
 
  押絵羽子板が持ちやすいように又、引き立つように少し厚めの布を重なりが後に回るように巻きます。  
 
  組上げた押絵の配色とバランス又、その押絵なりの背景を考えた押絵の後に張る隠された大切な部分です。バックの使い方で押絵の印象も変わります。  
 
  裏面 に裏絵が描いてある桐材に羽子板の裏面に先ず押絵の背景(バック)を貼りその上に組上げた押絵を小さなカナヅチと真鍮釘で打ち付けて取り付けるここに数多くの工程を経て押絵羽子板が完成します。